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2015.11.19 (Thu)

マエストロ

(あーーー)
マ エ ス ト ロ ☆

さて、どう訳されますかこれ?

マスター。
うん、マスターですね。漢字で書ける日本語にするならどうしましょう?

先生?
達人?
匠?

まぁMaestroはポルトガル語ではなく、ブラジル的にもイタリアからの外来語なので、"マエストロ"で良いかなとも思うのですが、サンバ・ヂ・エンヘドはちょっと漢字多めで訳したくなるのです。

レディオなまくらにとうりゅう、こんばんは。
今月も "小さい頃はビヨンセ" さんからのリクエスト、ヴィラ・イザベウ2015年のテーマ曲

"O maestro está na terra de Noel e a partitura azul e branco é da nossa Vila Isabel / 伯国の匠はノエルの地に在り。青と白の譜は我らがヴィラ・イザベウに在り。

をお届けします。

ブラジル出身の指揮者、イサーク・カラブチェフスキー / Isaac Karabtchevskyをテーマにしたサンバ・ヂ・エンヘドでございます。

Isaac Karabtchevsky

ブラジル読みすると、なんだろう。イザーキ・カラビチェヴィスキ?カラチェスキ?



クラシックの指揮については語れないので、経歴だけざっくりと並べると、

1969年から1994までOrquestra Sinfônica Brasileira / オルケストラ・シンフォーニカ・ブラジレイラ(ブラジル交響楽団)

1995年から2001年までイタリアのフェニーチェ劇場

2003年から2010年まで、Orquestra Sinfônica de Porto Alegre / オルケストラ・シンフォーニカ・ヂ・ポルトアレーグリ (ポルトアレグレ交響楽団)

現在はOrquestra Petrobras Sinfônica / オルケストラ・ペトロブラス・シンフォーニカ (ペトロブラス交響楽団)

他にも、ウィーンのトーンキュンストラー管弦楽団で指揮をしたこともあるみたい。

匠イサーク、だとリフォームの人みたいだからまあマエストロ・イサークか。

そんな2015ヴィラ・イザベウの音源はこちら。




さあ、本題
----------------------------------

No ar a mais bela sinfonia
É de arrepiar
Comunidade unida a cantar
Renasce num sonho lindo
A vila de novo sorrindo
E a música vem brindar

卒倒しそうに
最上級な交響曲
街が一つに歌を歌い
素敵な夢が再臨する
ヴィラは再び微笑みんで
音楽が杯を交わしにやってくる


O envolvimento suave da batuta
Com a poesia do povo de Noel
Em sintonia o maestro e seus movimentos
E o samba de vila Isabel

心地良いタクトの振りに
ノエルの詩がのり
匠の調べと呼吸が
ヴィラのサンバと絡み合う

Tá na sua regência a doce magia e a inspiração
Pra gente tocar feliz o clássico na mais pura raiz
Mais cordas, metais a valorizar as notas musicais
Traz o sopro de paz

その指揮のもと、我々の根たるこの古典を
奏で喜ぶ人々へ、甘美な魔法と霊感を
調べに弦や管が富めるほど
平和の息吹が訪れる

Eu quero curtir "O Guarani"
Na arte retratos da vida, o amor de Ceci e Peri
Viver é amar e sonhar
Ao som do "Menino Brasil", "O canto do Uirapuru"
Villa Lobos a emocionar.

"グアラニ"を堪能しよう
描かれる人の生き様、セシーとペリーの愛を
生きるとは愛し夢みること
ヴィラ・ロボスも感激する"ブラジルの子"や

"ウイラプルーの歌"の音に

Lá vem o trem, o trem caipira
Cruzando a floresta, trazendo emoções
Lá vai embarcação por águas sombrias
E o puro encanto das quatro estações

貨物列車カイピーラ号が
森を抜け感動を運んでくる
ほら船が行くよ
黒々とした水の上、四季折々の魅力を縫って

Seguem no compasso a swingueira
A orquestra brasileira, o balé
Bailam passistas, porta-bandeira
E a bailarina na ponta do pé

スインゲイラの五線譜の上
伯式オーケストラが
伯式バレエがついてくる
踊る。パシスタが踊る、旗持ちの姫が踊る
バレリーナがポワントで踊る

Solto então a voz na canção
Que emociona a todos nós
Dignidade volta pro ninho
Isaac e Martinho dão o tom

そして私は歌に声を放つ
我々全ての心震わせる声を
尊厳はその巣に戻り
イサークとマルチーニョが色彩を与えるのだ

No ar a mais bela sinfonia
É de arrepiar
Comunidade unida a cantar
Renasce num sonho lindo
A vila de novo sorrindo
E a música vem brindar

卒倒しそうに
最上級な交響曲
街が一つに歌を歌い
素敵な夢が再臨する
ヴィラに再び微笑みを

----------------------------------

訳注

Noel Rosa / ノエル・ホーザ

日本でノエル・ホーザまたはノエルホーザの表記が定着しているので、それに習いました。
(でも絶対エリス・レジーナとは書かないからなっ)

発音は"ノエウ"の方が近いです。L(エル)の子音は全く発音さません。

恥ずかしながら、僕がそらんじている彼の歌はただ1曲、Com Que Roupa / コン・キ・ホウパ (どの服で) だけ。
どんな人なのか書こうとすると、それだけで、2,3エントリー超えそう。ちょっとまた今度。

結核で若くして無くなったそうですが、後年に与えた影響、歌の人であることから、ちょっと正岡子規と似てると思いました。

日本語での記事もたくさんあるので、興味がある人はノエル・ホーザで調べてみて下さい。


movimento / モヴィメント

moviment / モヴィメントはムーブメント、つまり動きの事なので、訳語として「呼吸」を当てるのは厳密には正しくはありません。が、気にしません。

いわゆるオーケストラに参加した事はありませんが、バツカーダでの経験から言うと、指揮者の体の動きは、日本語で言うところの「呼吸を合わせる」ための「マスター呼吸」で、そこに「呼吸1」「呼吸2」「呼吸3」・・・と参加していくことで合奏が出来上がると考えていますんで、訳語を「呼吸」としました。


Compasso / コンパッソ
五線譜と訳していますが、本当は楽譜の小節の事です。
"小節"だと、少し考えないと譜面の絵が出てこないように思ったので、五線譜としています。

ちなみにCompassoは方位磁針や文房具のコンパスのこと。で、それが何で楽譜の





|      |







これになるんだろうか、という点。

これはたぶん、コンパスが円を描くだけの道具ではなく、一本の線を"等間隔"で区切っていくための道具だからかなーと。

ちなみにスペイン語ではCompás(コンパス)でした。

フランス語ではMesure(巻き尺)でした。

イタリア語では すいませんどういう事ですか。

イタリアすげー。

Guarani / グアラニー

南米大陸の先住民の部族の一つですが、ここでは彼らを描いた歌曲「グアラニー」のことを指しています。
作曲は19世紀、Antônio Carlos Gomes / アントーニョ・カルロス・ゴメスによるものです。

肖像画



ドン・ペドロ2世の奨学金でミラノの音楽大学院そ卒業し、マエストロの称号を与えられたそうです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%A7%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%A1%E3%82%B9


Vila Lobos / ヴィラ・ロボス
エイトール・ヴィラ・ロボス



イケメンっすね。

ブラジルを代表するクラシックの作曲家です。
1000曲近く作曲したそうですが、代表曲に「ブラジル風バッハ(Bachianas Brasileiras)」 その第2番第4楽章が O Trenzinho do Caipira / トレンジーニョ・ド・カイピーラ(カイピラの小さな汽車)です。

こんな曲



他の作品に、バレエ音楽のUirapuru(ウィラプルー)があるようです。


Trem Caipira / トレン・カイピーラ
先述の、トレンジーニョ・ド・カイピーラ(カイピラの小さな汽車)のことですね。
カイピーラは、ざっくりいって内陸部の田舎のこと。

貨物列車カイピーラ号というのは、だーいぶ飛躍した訳語です。

最初、「各駅停車カイピーラ号」としていたんですが、そもそも客車じゃなくて貨車じゃなかろうか(ブラジルの長距離移動はバスか飛行機がメイン)、とか。各駅停車に「○○号」という名前はつかないだろ、とかあって、貨物列車にしました。

カイピーラ、という単語を使いつつ、列車であることを簡潔に示せるので、気に入ってます。


Swingueira / スインゲイラ

ヴィラ・イザベウのバテリアの別名です。

スインゲイラ自体はジャズ英語由来の派生語で他でも使われており、区別のためにSwingueira de Noel / スインゲイラ・ヂ・ノエウという事もあるみたいです。

他のエスコーラについては、こちらにまとまってました。

http://www.galeriadosamba.com.br/espacoaberto/topico/187527/0/2/0/

あと、Facebookですけどこことか。

https://www.facebook.com/BlocoOsCataLatasDoGrajau/posts/745918848784243

ちょっとだけ抜粋、ものっそい雑にですが訳ふってみます。
量があったので、他のはこちらにまとめました

Mangueira - Surdo Um
マンゲイラ - スルド ウン / スルド・1

Salgueiro - Furiosa
サルゲイロ - フリオーザ/ 怒れるバテリア

Portela - Tabajara do Samba
ポルテーラ - タバジャラ・ド・サンバ / タバジャラ族サンバ

Viradouro - Bateria Furacão Vermelho e Branco
ヴィラドウロ - バテリア・フラカォン・ヴェルメーリョ・イ・ブランコ / バテリア紅白ハリケーン

Porto da Pedra - Bateria Ritmo Feroz /
ポルト・ダ・ペドラ - バテリア・ヒチモ・フェロイス / バテリア荒ぶるリズム

Vila Isabel - Swingueira de Noel
ヴィラ・イザベウ - スインゲイラ・ヂ・ノエウ / ノエルズスウィンガー


イサークとマルチーニョが色彩を与えるのだ

イサークはいいですね。
マルチーニョは、Martinho da Vila / マルチーニョ・ダ・ヴィラ。"ヴィラのマルチーニョ"という二つ名のとおり、ヴィラ・イザベウを代表するサンビスタです。"キゾンバ"を作曲したのもこの人。
ちなみにイサークが1934年生まれ、マルチーニョは1938年生まれ。
二人のあいだに交流はなかったと思うんですが、同世代なんですね。


よいしょっと。

やー、今回も良く書いた。楽しんでいただけましたでしょうか。(あーーーいお!)

また次回も、よろしくお願いしまーす。






ぺこ。
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