2016.11.08 (Tue)
アレレのサンバ
レレレのサンバからアレレのサンバということで、今回は、アレレーのサンバ。
アレレーの綴りはArerê。
アレレーのサンバはSamba de Arerê
アクセント部は伸ばす派。
(サイトーさんすいません。
世界の終わりのサンバ、忘れてはおりませんので今しばらくお待ちを)
一つ目の音源はこちら。
モノブロッコがホベルタ・サーをゲストに迎えてのバージョン。
この音源の冒頭に、こんな一言が入ります
「モノブロッコとホベルタ・サーが、ベッチ・カルバーリョを想って / Monobloco e Roberta Sá saudam a Beth Carvalho」
ベッチ・カルバーリョ、1946年生まれ、"サンバ界の母"、サンバのABCのBの人、今年で70歳現役。
たとえば、ネルソン・カヴァキーニョ("枯葉"の作曲)、アルリンド・クルス(パゴーヂの第一人者)やルイス・カルロス・ダ・ヴィラ(キゾンバの作曲)など、無名だった音楽家の曲を歌ったり、共演したりして、数多くの才能を"発掘"しました。
それゆえに"サンバ界の母 / マドリーニャ・ド・サンバ / A Madrinha do Samba"と呼ばれるようになったんだそうです。
アレレーのサンバ、曲の初出は1999年。
ベッチのアルバム "PAGODE DE MESA – AO VIVO (パゴーヂ・ヂ・メーザ - ライブ盤)"に収録。
曲を作ったのは
シャンヂ・ヂ・ピラーリス / Xande de Pilares
マウロ・ジュニオール / Mauro Jr.
アルリンド・クルス / Arlindo Cruz
手短ながら紹介すると、
シャンヂとマウロ
パゴーヂ第二世代の旗手とも言うべき"ヘベラサォン / Grupo Revelação"の創設メンバー(シャンヂは2014年に脱退)。
アルリンド・クルス
パゴーヂの元祖と言われるグループ、"フンド・ヂ・キンタウ / Fundo de Quintal" の元メンバー。
ベッチ、アルリンド、シャンヂはそれぞれ10歳ずつ年の差がありまして。
こじつけるならば、パゴーヂ前夜、パゴーヂ黎明期、パゴーヂ第二世代の三世代による作品なんですね。
ヘベラサォン版の音源はこちら。メドレー形式でSamba de Arerê → Rap do Simpáticoと続きます。
冒頭のMCは
"アルリンド・クルス、マウロ・ジュニオール、シャンヂ・ヂ・ピラーリス、そしてサンバ界の母、ベッチ・カルバーリョが録音した。俺のサンバはアレレー式だ / Arlindo Cruz, Mauro Jr, Xande de Pilares e a madrinha de samba Beth Carbalho gravou. Meu samba é de areré"
ところで、曲の冒頭で アシェー / Axé という言葉を用いていますが、これは90年代別に爆発的に流行っていた音楽ジャンルの名前でもあります。
やっぱりちょっと意識したのかな。
意味は、生命力とか、霊力とか、オーラとか、戦闘力とか、超人強度とか、そんな目に見えないエネルギーのことです。
ベッチ母さんが歌っているのはこちら。
よしよし、では、本題!
----------------------------------
Meu samba tem muito axé
Quer ver, vem dizer no pé
Escute o som do tantã
Tem samba até de manhã
俺のサンバにアシェーが宿る
見たけりゃお前の足でモノを言え
タンタンの音を聴け
サンバすんぞ朝まで
Pra curar o desamor
E a tristeza afastar
Você que nunca sambou
Se liga tem que sambar
失恋の傷を癒やすなら
悲しみを遠くへ追っ払うなら
サンバを知らないお前もつながれ
サンバに飛び込まなければな
Meu samba é de arerê
Quem samba não quer parar
Na hora do vamo vê
Meu samba é ruim de aturar
俺のサンバはアレレースタイル
体が動けば止まらない
そん時が来たらわかる
俺のサンバは我慢が効かない
Tem o dom de resolver
Deixar tudo no lugar
Você que nunca sambou
Se liga, tem que sambar
あるべき物をあるべきところへ
そんな天性の解決方があるんだ
サンバを知らないお前もつながれ
サンバに飛び込まなければな
Vem ver, meu povo cantar
Vem ver, meu samba é assim
Aaaaaamor, você pode provar
Mas deixe um pouquinho pra mim
見に来い、歌う人々を
見に来い、これが俺のサンバだ
味見してくれていいけど
俺にもちょっと残しておいてくれ
-------------------------
A Madrinha do Samba
サンバ界の母
本当はね
Madrinhaは代母。そもそもはリンク先のとおりキリスト教の制度だったんですが、「現在では自分が死んだりしたときに自分の子の母になってもらう人」のことのようです。
ただ、代母ってあんまりよく知られた単語じゃないので、思い切って母にしちゃえと。
さて、do Sambaって言うのはそのまま「サンバの」って単語なので、素直に行けば「サンバの母」なんですが、ふむ。
さまざまな人のサンバを見つけては世に出したこと、育てたことがこの二つ名の由来で、ベッチ・カルバーリョがサンバという音楽を生んだ訳ではないしなー。
んで、サンバを音楽としてではなく、場所ととらえる事にしました。
青山の母的なノリで。
よって、サンバ"界"の母です。
Axé
アシェー
参考はこちら
https://www.significados.com.br/axe/
冒頭で書いたとおり、ヨルバ語起源の言葉で、世界にある物一つ一つに宿る力、能力なんかをさします。
八百万の神と似てますね。
あと、カンドンブレのオリシャの力をアシェーと言います。
たとえば、カンドンブレの儀式でオリシャを感じた時に高揚感をもって使われていた言葉みたい。
皆さんも新たな力に目覚めることがあるかと思いますが、そうしたら高揚感と共に叫びましょう。
アシェー。
dizer no pé
ヂゼー・ノ・ペー
dizer = 言う
no = in
pé = 足
サンバのステップの事を、サンバ・ノ・ペーって言います。
個人的にはロマンあふれる表現と思っておりましてね。足でサンバをするんじゃなくて、足にサンバがあるって事です。
Dizer no pé は足に宿るものにモノを言わせろって事なのだとおもいます。
tantã
タンタン。打楽器。
叩いた時の音がタンタンだからタンタン。
フンド・ヂ・キンタウが発明した低音楽器です。
Tantam と綴られることもありますが、発音はTantãと同じ。鼻母音二連発。
歌詞中「タンタンの音を聴け」のところで立ち上がってる低音がタンタンです。
(モノブロッコはタンタンを使わないのでスルドで代用)
タンタンはこんなん。

タンタンのパターンはターンタターンタターンタターンタ時々ンタンタ。
立ち上がりはンタンタンタンタンタンタンタンタ
以上、タンタンでした。
Arerê
アレレー
ヤフー知恵袋のブラジル版にこんな記載がありました。
"アレレーは、文化的背景によって意味が異なります。
バイーアで使うなら「宴会、パーティ」
アフリカ系宗教の一つウンバンダにおいては年長者(Pretos Velhos, 黒翁)の仕事や助言や癒やし
インディオの言葉ではオウムの仲間(Irerê / イレレー、と同義)
ヨルバ語では、「盛り上がってんな!」という囃し言葉"
だそうで。
個人的にはアレレーで連想するのはこちら。
アシェー音楽の女王、イヴェッチ・サンガーロとバンダ・エヴァのアレレー。(1997年)
訳注ここまで
その他参考にしたサイトはこちら。
読むナビDJ、第112回
http://s.drillspin.com/articles/view/709
THE WONDERS OF BRAZILIAN MUSIC
http://www.slipcue.com/music/brazil/bethcarvalho.html
アシェーとかアレレーみたいな、ヨルバ語起源の言葉って、エキゾチズムあるよね。
"でぃごの花が咲き"ってなもんです。
ではでは、寒くなってきましたがお身体にお気をつけてお過ごしください。
ぺこ。
アレレーの綴りはArerê。
アレレーのサンバはSamba de Arerê
アクセント部は伸ばす派。
(サイトーさんすいません。
世界の終わりのサンバ、忘れてはおりませんので今しばらくお待ちを)
一つ目の音源はこちら。
モノブロッコがホベルタ・サーをゲストに迎えてのバージョン。
この音源の冒頭に、こんな一言が入ります
「モノブロッコとホベルタ・サーが、ベッチ・カルバーリョを想って / Monobloco e Roberta Sá saudam a Beth Carvalho」
ベッチ・カルバーリョ、1946年生まれ、"サンバ界の母"、サンバのABCのBの人、今年で70歳現役。
たとえば、ネルソン・カヴァキーニョ("枯葉"の作曲)、アルリンド・クルス(パゴーヂの第一人者)やルイス・カルロス・ダ・ヴィラ(キゾンバの作曲)など、無名だった音楽家の曲を歌ったり、共演したりして、数多くの才能を"発掘"しました。
それゆえに"サンバ界の母 / マドリーニャ・ド・サンバ / A Madrinha do Samba"と呼ばれるようになったんだそうです。
アレレーのサンバ、曲の初出は1999年。
ベッチのアルバム "PAGODE DE MESA – AO VIVO (パゴーヂ・ヂ・メーザ - ライブ盤)"に収録。
曲を作ったのは
シャンヂ・ヂ・ピラーリス / Xande de Pilares
マウロ・ジュニオール / Mauro Jr.
アルリンド・クルス / Arlindo Cruz
手短ながら紹介すると、
シャンヂとマウロ
パゴーヂ第二世代の旗手とも言うべき"ヘベラサォン / Grupo Revelação"の創設メンバー(シャンヂは2014年に脱退)。
アルリンド・クルス
パゴーヂの元祖と言われるグループ、"フンド・ヂ・キンタウ / Fundo de Quintal" の元メンバー。
ベッチ、アルリンド、シャンヂはそれぞれ10歳ずつ年の差がありまして。
こじつけるならば、パゴーヂ前夜、パゴーヂ黎明期、パゴーヂ第二世代の三世代による作品なんですね。
ヘベラサォン版の音源はこちら。メドレー形式でSamba de Arerê → Rap do Simpáticoと続きます。
冒頭のMCは
"アルリンド・クルス、マウロ・ジュニオール、シャンヂ・ヂ・ピラーリス、そしてサンバ界の母、ベッチ・カルバーリョが録音した。俺のサンバはアレレー式だ / Arlindo Cruz, Mauro Jr, Xande de Pilares e a madrinha de samba Beth Carbalho gravou. Meu samba é de areré"
ところで、曲の冒頭で アシェー / Axé という言葉を用いていますが、これは90年代別に爆発的に流行っていた音楽ジャンルの名前でもあります。
やっぱりちょっと意識したのかな。
意味は、生命力とか、霊力とか、オーラとか、戦闘力とか、超人強度とか、そんな目に見えないエネルギーのことです。
ベッチ母さんが歌っているのはこちら。
よしよし、では、本題!
----------------------------------
Meu samba tem muito axé
Quer ver, vem dizer no pé
Escute o som do tantã
Tem samba até de manhã
俺のサンバにアシェーが宿る
見たけりゃお前の足でモノを言え
タンタンの音を聴け
サンバすんぞ朝まで
Pra curar o desamor
E a tristeza afastar
Você que nunca sambou
Se liga tem que sambar
失恋の傷を癒やすなら
悲しみを遠くへ追っ払うなら
サンバを知らないお前もつながれ
サンバに飛び込まなければな
Meu samba é de arerê
Quem samba não quer parar
Na hora do vamo vê
Meu samba é ruim de aturar
俺のサンバはアレレースタイル
体が動けば止まらない
そん時が来たらわかる
俺のサンバは我慢が効かない
Tem o dom de resolver
Deixar tudo no lugar
Você que nunca sambou
Se liga, tem que sambar
あるべき物をあるべきところへ
そんな天性の解決方があるんだ
サンバを知らないお前もつながれ
サンバに飛び込まなければな
Vem ver, meu povo cantar
Vem ver, meu samba é assim
Aaaaaamor, você pode provar
Mas deixe um pouquinho pra mim
見に来い、歌う人々を
見に来い、これが俺のサンバだ
味見してくれていいけど
俺にもちょっと残しておいてくれ
-------------------------
A Madrinha do Samba
サンバ界の母
本当はね
Madrinhaは代母。そもそもはリンク先のとおりキリスト教の制度だったんですが、「現在では自分が死んだりしたときに自分の子の母になってもらう人」のことのようです。
ただ、代母ってあんまりよく知られた単語じゃないので、思い切って母にしちゃえと。
さて、do Sambaって言うのはそのまま「サンバの」って単語なので、素直に行けば「サンバの母」なんですが、ふむ。
さまざまな人のサンバを見つけては世に出したこと、育てたことがこの二つ名の由来で、ベッチ・カルバーリョがサンバという音楽を生んだ訳ではないしなー。
んで、サンバを音楽としてではなく、場所ととらえる事にしました。
青山の母的なノリで。
よって、サンバ"界"の母です。
Axé
アシェー
参考はこちら
https://www.significados.com.br/axe/
冒頭で書いたとおり、ヨルバ語起源の言葉で、世界にある物一つ一つに宿る力、能力なんかをさします。
八百万の神と似てますね。
あと、カンドンブレのオリシャの力をアシェーと言います。
たとえば、カンドンブレの儀式でオリシャを感じた時に高揚感をもって使われていた言葉みたい。
皆さんも新たな力に目覚めることがあるかと思いますが、そうしたら高揚感と共に叫びましょう。
アシェー。
dizer no pé
ヂゼー・ノ・ペー
dizer = 言う
no = in
pé = 足
サンバのステップの事を、サンバ・ノ・ペーって言います。
個人的にはロマンあふれる表現と思っておりましてね。足でサンバをするんじゃなくて、足にサンバがあるって事です。
Dizer no pé は足に宿るものにモノを言わせろって事なのだとおもいます。
tantã
タンタン。打楽器。
叩いた時の音がタンタンだからタンタン。
フンド・ヂ・キンタウが発明した低音楽器です。
Tantam と綴られることもありますが、発音はTantãと同じ。鼻母音二連発。
歌詞中「タンタンの音を聴け」のところで立ち上がってる低音がタンタンです。
(モノブロッコはタンタンを使わないのでスルドで代用)
タンタンはこんなん。
タンタンのパターンはターンタターンタターンタターンタ時々ンタンタ。
立ち上がりはンタンタンタンタンタンタンタンタ
以上、タンタンでした。
Arerê
アレレー
ヤフー知恵袋のブラジル版にこんな記載がありました。
"アレレーは、文化的背景によって意味が異なります。
バイーアで使うなら「宴会、パーティ」
アフリカ系宗教の一つウンバンダにおいては年長者(Pretos Velhos, 黒翁)の仕事や助言や癒やし
インディオの言葉ではオウムの仲間(Irerê / イレレー、と同義)
ヨルバ語では、「盛り上がってんな!」という囃し言葉"
だそうで。
個人的にはアレレーで連想するのはこちら。
アシェー音楽の女王、イヴェッチ・サンガーロとバンダ・エヴァのアレレー。(1997年)
訳注ここまで
その他参考にしたサイトはこちら。
読むナビDJ、第112回
http://s.drillspin.com/articles/view/709
THE WONDERS OF BRAZILIAN MUSIC
http://www.slipcue.com/music/brazil/bethcarvalho.html
アシェーとかアレレーみたいな、ヨルバ語起源の言葉って、エキゾチズムあるよね。
"でぃごの花が咲き"ってなもんです。
ではでは、寒くなってきましたがお身体にお気をつけてお過ごしください。
ぺこ。
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